日本を代表する陶器である信楽焼は、朝ドラ「スカーレット」で扱われ注目を集めていますよね。
観光スポットが多数ある関西の中でも滋賀の信楽は、陶芸を見る・体験する・購入するという様々な楽しみ方ができるのでおすすめです。日本六古窯(にほんろっこよう)の一つに当たる伝統的な信楽焼は、わび・さびが感じられる陶器として人気があります。
今回はそんな信楽焼の魅力に迫っていきますので、信楽をあなたの旅スポットの一つに加えてみてくださいね。
信楽焼とは?陶器の特徴や愛されてきたポイント
信楽焼は、滋賀県甲賀市信楽の良質な陶土を用いた陶器です。土の質感や風合いを、そのまま活かし素朴でありながら自然の力強さを感じることができるのが大きな特徴です。
絵付けの作品は比較的少なく、古来の方法では色つやを出す釉薬を使用せずに焼き締めて美しいフォルムを作り出します。これは土の質がダイレクトに出るため、良い土の取れる信楽だからこそできる方法です。
素地となる土には鉄分が含まれ、これが焼き上げることで灰色や緋色になり、ごく稀に黒褐色になります。登り窯や穴窯で焼くことで温かみのある緋色(スカーレット)の発色が得られるのも信楽焼の特徴の一つです。
信楽焼は釜の中で灰をかぶるため陶器に自然釉が付着するという独特の焼き上げをしています。薪が燃えた後の灰が積もり、この灰に埋もれた陶器は黒褐色の発色になることがあります。
この黒褐色の発色を「焦げ」といい、信楽焼に見られる特徴的な釜の中で起こる現象の一つです。そのほかにも部分的に白くなる「抜け」などの現象も信楽焼を楽しむポイントとして愛されてきました。
信楽焼の歴史背景とエピソード
信楽焼は、平安時代後期に常滑焼(とこなめやき)の技術の影響を受けて生産されたことが発祥とされています。生産当初は常滑焼の釜によく似た釜を使用し、焼き上がった作品も常滑焼と多くの共通点がありました。
しかしその後、ケイ石や長石が多く含まれる良質な土の持つ質感や色など、信楽焼の特徴が確立されていきます。14世紀には農業発展の背景を受け、カメや壺、鉢などの生産が中心になり発展していきました。
この信楽焼は、日本六古窯(にほんろっこよう)の一つです。日本六古窯とは古来の釜の中でも途絶えずに現代まで存続している日本の代表的な産地を指します。日本六古窯は越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前であり、1948年に古陶磁の研究家である小山富士夫によって命名されました。そして2017年には日本遺産に認定されています。
日本六古窯は、朝鮮や中国から伝わった技術や焼き上げ方法とは別のものとして区分されています。日本六古窯は日本で生まれ、日本で発展していった日本独自のやきものなのです。
信楽焼は特にここが魅力
信楽焼は良質な信楽の土を使用しており大物づくりに適しているため、カメや壺といった生活に必要な大物などが多く生産されます。また、信楽の土は細工しやすいという特徴も併せ持っているため、神仏具や煎茶器といった小物にも重宝されました。
このように、信楽焼は同じ土から大きなやきものから、小さな陶芸品まで作り出すことができるのです。そのため信楽焼は作品の幅が広く、様々な作品が生産されています。
特に美しい緋色とビロード釉と呼ばれる青い発色は、鎌倉時代に流行した茶の湯の世界において高い評価を受けました。信楽焼はこれまでも、素朴でわび・さびを感じさせるたたずまいゆえ、多くの茶人に好んで使われています。
信楽焼の特徴であるビロード釉は自然釉の一つであり、釜の中で作品に灰が降り積もることで起こる現象です。高温によって信楽の土に含まれる長石と灰が反応してガラス化します。ビロード釉は様々な条件によって発色や景色が異なり、その珍しさと美しさから特に人気を集めます。
信楽焼にたぬきが多い理由は?(意味合い)
信楽焼きといえば、たぬきを一番に思いつく方も多いはずです。ですが、実は信楽焼の歴史の中でも、たぬきの歴史はあまり古くありません。
信楽焼きのたぬきは、窯元「狸庵」の藤原銕造によって創作された作品です。当初は本物のたぬきそのものの風貌で野性的でしたが、徐々に現在のような丸っこく愛らしい表情のたぬきに変わっていきました。
信楽焼きのたぬきが全国に広まったきっかけは、昭和26年に昭和天皇が信楽を訪問した時でした。沿道に信楽焼きのたぬきを並べてお出迎えをすると、昭和天皇がそのことに感銘を受けて歌を詠まれたのです。これが話題となり全国から注文が殺到しました。また、たぬきの「他を抜く」といった意味も縁起が良いと飲食店関係者に特に好評だったのも、信楽焼のたぬきが有名になったきっかけです。
信楽焼きのたぬきは八相縁起といって、下記8つの縁起ものを身につけています。
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- 笑顔:愛想の良さ
- 笠:災難を避ける
- 徳利:人徳を得る
- 大きな目:周囲に気をくばる
- 通い帳:信用第一
- 大きなお腹:冷静さと大胆さの象徴
- 金袋:金運アップ
- 太い尻尾:終わり良ければすべて良し
この縁起の良さも、信楽焼のたぬきを全国区にしたと言えるでしょう。
信楽の陶芸作品を体験するには?
信楽焼の博物館である「信楽伝統産業会館」では、貴重な天平時代や近世のやきものなどを見ることができ、信楽焼の歴史をわかりやすく学ぶことができる場所です。
また、定期開催のマーケットとして有名なのが「信楽陶器まつり」です。毎年10月に信楽駅前で開催される大規模な陶器市であり、様々な信楽焼をお得な価格で買うことができます。この陶器まつりでは、陶器の即売会だけではなく、特産品の販売やグルメコーナーなども設置されて1日中楽しめるイベントとして人気です。
さらに、信楽の一部のスターバックスでは信楽焼のカップでコーヒーを楽しめます。スタバには、その土地の店舗のみで販売している「JIMOTO made series」という取り組みがあり、信楽のスタバでは信楽焼きのたぬきをイメージしたカップが売られているのです。ただ、限定品のため欠品の場合もありますので、事前に電話などで確認をしておいた方が安心ですね。
陶芸体験としては「滋賀県立陶芸の森」と「信楽陶苑たぬき村」がおすすめです。電動ロクロを使うコースや手びねりコース、絵付けコースなど難易度や所要時間などによって選べるので、小さなお子様も楽しく体験することができます。
陶芸体験できるスポット1|滋賀県立陶芸の森
見所時期 | 通年 |
場所 | 滋賀県甲賀市信楽町勅旨2188-7 |
アクセス方法 |
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料金等 | 無料(ただし陶芸館のみ有料です) |
公式HP | 陶芸の森 https://www.sccp.jp/ |
補足情報 | 陶芸館は信楽焼を始めとする世界の陶芸を展示しています。信楽焼の作品を製作している作業の見学ができます(要予約) |
陶芸の森は信楽焼の文化に触れることができる施設で、貸し窯や信楽焼ショップもあるため、ファミリーでも楽しむことができておすすめです。
陶芸の森では「信楽作家市」というイベントも開催されます。信楽作家市は毎年5月のゴールデンウイークごろに開催され、多数の信楽作家が参加する展示即売のイベントです。ワークショップなども催され、陶芸技術の体験ができます。陶芸の森の広場に信楽作家が全国から集まるため、お気に入りの作品との出会いが期待できます。
陶芸体験できるスポット2|信楽陶苑たぬき村
見所時期 | 10月に開催される「信楽陶器まつり」と合わせて訪れるのがおすすめです。 |
場所 | 滋賀県甲賀市信楽町牧1293-2 |
アクセス方法 |
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料金等 | 陶芸体験
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公式HP | たぬき村 http://www.tanukimura.com/top.html |
補足情報 | 特になし |
信楽陶苑たぬき村は陶芸体験ができる施設として人気です。特にオリジナルの手作りたぬきを作ることができるので、信楽のお土産にもぴったりです。昔ながらの信楽焼きたぬきの型を使用して作るので、本格的な手作りたぬきを作成することが可能です。焼き上がりの大きさは高さ約18センチと小ぶりなので玄関やリビングなどにも飾っても良いでしょう。
信楽で日本の伝統を満喫しましょう!
信楽は、たぬきの置物をはじめ、全国的に有名な陶芸作品に触れられる街です。
その街中では、信楽焼を見たり買ったりするだけでなく、自分で作る経験もできます。
日本の伝統を満喫できる信楽を訪れる際は、ぜひこのページを参考にしてくださいね!
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